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第1回-(2) キャリアアドバイス・ベーシック講座を開催しました

 平成24年3月17日(土)9:30~16:30、陣田泰子先生(済生会横浜市南部病院 院長補佐)をお迎えして、2回目のキャリアアドバイス・ベーシック講座を開催しました。この講座は2回シリーズとなっており、前回の講座(←前回の活動レポートのページにリンク貼る)では「キャリア支援全般」について学び、今回は自身の「臨床経験の概念化(実践の言語化)」を通じて、ジェネラリスト・ナースとして臨床で働き続ける「スタッフのキャリア支援」について学びました。前週に引き続き看護管理者等の関心度は高く、師長11名、主任21名、スタッフ9名が参加しています。
 


 
 

【これまでの歩みと“看護現場学”開発の経緯】

 今回の講座は、陣田先生自らの看護師としての臨床体験と教職経験を元に“看護現場学”を開発するに至った経緯のお話からはじまり、社会への変化と看護への期待、看護現場学から見るこの先の看護、いのちの学びを支える技と続きました。
看護現場学は、陣田先生が「実践なき理論は空虚であり、理論なき実践は盲目である」(クルト・レビン。1890-1947.心理学者)という言葉に衝撃を受け、臨床現場で働く看護師こそ、理論と実践の統合によってDoing Nurse(スザンヌ・ゴードン。米国。ジャーナリスト)からの脱却を図ることが必要だと考えられたことに始まります。その理論は、武谷が提唱した「認識の三段階※」をベースに、一人ひとりの看護師が体験しているバラバラな現象を収束して構造化し、本質へと結集していくことで、新たな医療システムの中で看護師自らがいのちの学びのマネジメントを行う“コンテキスト・ラーニング”としてのプロセスであり、看護師が本質を見失うことなく成果を実感できる帰納的アプローチであると具体的な事例を交えて解説いただきました。
 
※ 認識の三段階:物理学者 武谷三男(1911-2000.日本)が提唱した。人間の認識は、①現象をありのままに記述する段階、②対象の構造を研究する段階、③対象がどのような相互作用の下に、どのような運動法則に従っているのかを明らかにする段階、の三段階を踏むとする。
 



 
 
 
 

【WORK ~私の忘れられない場面~】

 ワークは、各自がこれまでの臨床看護実践を通じて忘れられない場面を想起するところから始まり、それを記憶していた理由やこだわり等を記入&語る(ナラティブ)ことで、自分が大切にしている“看護”を「見える化」するというステップを踏みました。
 ある看護主任は、自分の所属部署で人工呼吸器を装着していた父親の看護経験から、クリティカルケア領域の専門家の路を選んだことや、患者さんの意識レベルが低い際にも“看護”にしかできないことがあると日々実践していることなどを語りました。
 
 
 

【語りとキャリア支援】

 看護臨床実践家としての経験を持つ方は、目を閉じると想起される患者さんやシーンがいくつかあるはずです。これこそが一人ひとりが大事にしている看護観であり、かつ方法論であり、こういう経験を「知」としての他の人に見えるようにすることの重要性を深く学びました。陣田先生は、この方法論を「ナレッジ交換会」と称しています。ワークの主なねらいは、実践の言語化の方法を看護管理者等が自ら経験することで、臨床実践家として活躍している部下や後輩のキャリア支援につなげることでしたが、この方法論はすぐにでも現場で活用できそうです。
 
 

 
 

【いのちの学びを支える技】

 近年の少子高齢化における包括医療システムの中で、入院を基本に考えたとしても社会的に見た看護職の役割の変化に対応するという認識の必要性も説かれました。疾病構造の変化に対しては、「CURE→CARE」へといわれていた状況が、さらに「CARE+SELFCARE」必要となりました。看護職を取り巻く医療システムも入院期間の更なる短縮により多職種協働が不可欠となり、対象者は患者だけではなく地域住民(≒国民)になっています。そのような社会の変化に対応するためにも日々の「経験」から学び、経験という暗黙知を理論と統合して再認識・再実践する帰納的なアプローチを行うことが重要となってきます。
 講座の最後に、陣田先生は、現場発の理論(CARE。日々の臨床知の集積)が、個人の看護技術の質の向上につながり、「いのちの学びを支える(新たな看護の)技となるだろう」とお話されました。
 
 

【講座を終えて】

 終了後のアンケートでは、本日の講義に対して、34人中14人が「100%満足した」と回答しており、充実した講義だったことが伺われました。また、「本日学んだ内容を、部下や後輩の支援に役立てていきたいと思いますか」という設問に対しては、設問に回答した37人のうち1名以外は、「とてもそう思う」(23人・62.16%)・「そう思う」(13人・35.1%)と回答しており、キャリアアドバイス・ベーシック講座が部下や後輩支援に役立つ可能性が示唆されました。
 この講座は、継続して行っていく予定です。今回参加できなかった方も、ぜひ次回以降ご参加ください。看護職のキャリアパスの構築につながりますよう。。。
 
表 アンケート結果(一部抜粋)
   ◀とてもそう思う 全くそう思わない▶Average
Q1)キャリア支援への関心が深まりましたか (N=36)7226103.97
Q2)自分のキャリアの振り返りができましたか (N=37)17182004.41
Q3)自分のキャリア開発に役立つと思いますか (N=37)15193004.32
Q4)本日学んだ内容を、部下や後輩の支援に役立てていきたいと思いますか (N=36)23131004.59
 
自由記述回答(一部抜粋)
 
  • 自己の経験を言葉にして概念化することのプロセス、方法論と重要性が学べた。
  • 他の人の意見や経験を聞けたことで、自分のキャリアの積み方へのヒントになった。
  • 経験してきた、積み重ねてきた実践を言語化する重要性が理解できた。
  • スタッフにも自分の経験を“見える化”して、自分の看護の価値を認識して自信を持ってもらえるようにしたい。
  • 日常の経験から今後の看護実践につながる成果を学び取る方法を知ることができた。
[参考資料]
  • 陣田泰子:「看護現場学への招待~エキスパートナースは現場で育つ~」、医学書院、2006、東京
  • 澤田香代:「充実した日々を送るために看護師ができること;相手の立場に立つこと」、臨床看護、35(1),106-110,2009
 
(2012/3/21)
 
 


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