慶應義塾大学看護医療学部准教授 小池智子

2011年11月2日16:30~18:00、慶應義塾大学病院11階第5会議室で、米国Mayo ClinicのSt. Mary Hospitalで活躍しているNursing Education Specialist(NES)を囲んで、交流ミーティングをおこないました。交流ミーティングには、Nursing Education Specialistのジェニファーさん(Jennifer Diggins, MSN,RN)とアンさん(Deirdre Ann Kolb,MS, RN)のほか、修士課程に在学中の小児科スタッフナースのホーリーさん(Holly Hanson, BNS, RN)も参加くださいました。また、看護部からは「看護職キャリアシステム構築」プログラムのメンバー等が7名、看護医療学部からは実習指導者を含め3名が参加しました。
St. Mary Hospitalの看護師教育モデルの骨幹である「Mayo Nursing Competency Program」、Nursing Education Specialistの役割と機能についてのプレゼンテーションを受けながら、看護師のコンピテンシー(能力)やその評価方法などについてディスカッションをおこないました。
Nursing Education Specialist は、看護教育に関する修士課程を終了し、資格を取得した看護職教育の専門家です。 St. Mary Hospitalでは、約60名のNursing Education Specialistが活躍しており、ひとりが1~2病棟を担当し教育計画をたてるとともに、スタッフナースの現場教育を担っています。
Nursing Education Specialistはポジティブな役割モデルを取りながら、教育的な技法を駆使して、スタッフナースが自分に必要なコンピテンシー(能力)を認識するのを助け、その習得のための効果的な教育計画をたて実行を支援します。Mayo Nursingのコンピテンシーは、技術、批判的思考、人間関係の3つの領域から構成され、明確な達成基準が示されています。これらを達成について、ひとりひとりの看護師に合った支援を行っているということでした。また、スタッフナースのコンピテンシー評価をおこなうのもNursing Education Specialistです。
最も興味深かったのは、看護管理者は直接スタッフナースの教育・評価をしないということです。看護管理者は病棟の看護の質を維持・向上することが最大の責務ですので、これを担う人材の育成の方針を合意した上で、直接的な育成はNursing Education Specialistに任せ、自身はマネジメントに専念します。
役割・責務が明確に分けられていることに驚きましたが、ジェニファーさんが「以前、マネジメントとスタッフ教育を同時に担当してことがありますが、本当に大変でした。スタッフの到達度やモチベーションの変化にいつも関心を寄せ、スタッフひとりひとりに合った教育支援をおこなうためには、これを専門的におこなう役割が必要です。高い質の看護を提供するためには、マネジメントと教育に高い能力が求められます、両方を担うのでは片手落ちになりがちです。だからこそ、マネジメントとスタッフ教育の役割を分ける必要があるのです。」と話しているのが印象的でした。
看護のコンピテンシーは慶應病院の看護師発達モデルと共通する内容が多く、基本的なコンピテンシーは世界共通だと感じました。一方、 Nursing Education Specialistが専任で置かれているなど、看護師教育提供の体制は大きく異なっています。今後の慶應病院の現任教育体制を検討する上で、たくさんのヒントをいただきました。多くのディスカッションが交わされて、あっという間の90分でした。


