12月のクリスマスの時期、慶應義塾大学病院でサンタクロースの衣装を身につけクリスマスソングを演奏しているグループを見かけたことはありますか。これは、慶應義塾大学看護医療学部学生が企画をしている「サンタ企画」です。この時期のおなじみの風景となってきました。私は、慶應義塾看護短期大学の頃から企画に関わり、現在も会長をしている立場から、今回、この「サンタ企画」を紹介します。
「サンタ企画」は、慶應義塾看護短期大学の学生の発案により1997年に誕生しました。第1回のグループが作った記念誌によると、日常生活を離れて苦痛と戦い、機械音に囲まれて日々を送っている入院患者さんと接する中で、『病院に色彩を与え、できればすべての入院患者さんに届けるものがしたい』という思いで始めたそうです。この活動は慶應義塾大学の公認団体として認められ、看護医療学部の学生に引き継がれ、今年で15回目の「サンタ企画」になります。
まず9月下旬から10月上旬に学生の代表が看護部長と相談して日程を決めます。
その後、学生が各病棟師長を訪問し、演奏をする場所を相談します。当日には、午前中と直前に病棟を訪問し、演奏場所の再確認、出張演奏(演奏する場所に移動できない患者さんの希望により病室で演奏をする)の必要な人を確認します。
当日には、入院および外来の患者さん、家族に、音楽の演奏(コーラスと楽器演奏:塾内5音楽団体が参加)と手作りのクリスマスカード(学生の手作り:約1500枚作成)をプレゼントします。当日参加者は(学生及び教員約100名)は、約7~10グループに分かれ、各グループが3か所程度の病棟と外来を担当し、1病棟で約30分程度の演奏をして各病棟を回ります。
演奏中はいろいろなエピソードがあります。病室での演奏を希望した方への出張演奏をした時のことでした。患者さんは、残された時間が限られている方で、ベッドの周りには数人の家族が集まって見守っていらっしゃいました。演奏が始まると、家族の方もクリスマスソングを歌われました。患者さんの意識は朦朧としていましたが、表情が穏やかになったように感じました。家族は「最後のクリスマスで、こんなふうに一緒に唄えて、ほんとうにうれしい。こんな時間が持てるとは思ってもいませんでした。いい思い出ができました」と、涙ながら喜んでくださいました。
学生は、患者さんや家族に音楽を楽しんで元気になっていただきたいと演奏しますが、実は、患者さんや家族の喜んでくださる姿から、学生の方が喜び、やりがいをたくさん感じさせていただいています。患者さんに音楽をプレゼントしながら、学生は患者さんや家族からそれ以上のプレゼントをいただいています。
こんな素敵な一時がもてる「サンタ企画」。この企画運営は、看護部長をはじめ、各病棟の師長、看護師、看護助手のみなさまが、情報提供、患者さんの移動介助、安全への見守りなどのご協力と力添えがあってこそ、成功しています。今後、引き続きご支援をいただきながら、継続できることを願っております。


